りんご果汁100%から作るりんご酢
- 壽屋の本格醸造りんご酢は販売開始以来、「材料となるりんごを砕いて、アルコール発酵させ、さらに酢酸菌を加えて酢酸発酵という2回の発酵の行程を経て、その後じっくりと3年間熟成をさせる。その間、アルコールを加えたり、発酵を促す添加物を一切使用していないということ」を、長年に渡りお伝えして参りました。
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ところが、「壽屋のりんご酢は、りんご果汁100%から作るりんご酢」です。ということをお伝えしきれていなかったのでは?とここにきて不安になりました。世の中で販売されているりんご酢は、原材料の30%にりんご果汁を使用していれば醸造りんご酢と表示可能ということです。りんごの持つ様々な栄養成分がギュッと凝縮されることにより、様々な健康効果が期待されるりんご酢。100%と30%の違いは歴然かと思います。果汁100%りんご酢、製造方法を改めてご紹介したいと思います。
天然酵母の力で発酵を始めるりんご果汁
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壽屋のりんご酢の製造は、山形県産ふじりんごの洗浄から始まります。その後は、ベルトコンベアーで運ばれ粉砕機で砕かれます。粉々になったりんごをまとめて上から重石をかけることによってりんご果汁が絞られます。こうして出来た100%のりんご果汁は、糖度がとても高いため適正な温度管理下に置くことによって、天然酵母の力で、アルコール発酵を始めます。壽屋のりんご酢を作る過程では、りんご自身が持つ力をしっかり発揮するため、アルコールを添加する必要などはないのです。
りんご果汁の中の糖分が発酵によってアルコールに変化し、甘みがなくなるとりんごのワインの完成です。(これ、飲み口がよくてすっきりさっぱり。とっても美味ですよ。非売品ですが…)
酢酸発酵により酢となる
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次に、酢酸菌を加えて酢酸発酵が行われます。この際の酢酸菌は、果実酒に適した酢酸菌をと「独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター」から取り寄せたもので、以来十数年間、壽屋のりんご酢工場で24時間365日培養を続けています。タンクに入れたりんごワインに酢酸菌を入れて酢酸発酵が立ち上がってくるまで、早くて2週間以上の時間を要します。元気な酢酸菌の状態を保つために、培養を続けるのですが、その時々によって異なるのが生きている菌の証。製造責任者の丹野工場長の長年の勘を頼りに酢酸菌のご機嫌を見守りつつ酢酸発酵が行われます。アルコールが酢酸発酵により酢に変化し、アルコール成分がなくなれば酢酸発酵の終了です。発酵の後は、殺菌、澱下げ、熟成というこちらも待つ行程に3年の月日を費やします。
【一般的に販売されている醸造りんご酢と差別化をはかるために、壽屋では「本格醸造りんご酢」と命名しています。】
根気よく優しくおだやかに…
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いずれの作業も、「じっくりと向き合って待つ。」根気よく優しくおだやかに…4年以上向き合い続けたりんご酢をお客さまの元へお届けする際には、「りんご果汁100%から作った日本一のりんご酢です。と自負しているんです」と丹野工場長。
りんごの力を信じて作る日本一のりんご酢
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再度確認しますが、現在の日本農林規格(JASマーク)では、アルコール発酵の手間を省いた製法で〝醸造酢〟と表示可能、さらには発酵助剤の添加を表示する義務もありません。
というところから考えると、アルコール発酵と酢酸発酵の2度の発酵をしっかり行い、さらに食品添加物は一切使用しない壽屋のりんご酢は、実直というよりもあまりにも手間と時間がかかり、愚直な作り方と言えるかもしれません。でも、りんご果汁100%だから、アルコールを添加しなくとも、りんごの持つ自然な力でアルコール発酵が行われること、立ち上がりには時間がかかるけれども、力強い酢酸発酵が行われること。愚直にりんごの力を信じて作り続けたからこそ出来た日本一を自負するりんご酢です。(文 横尾友栄)
よこおともえ記