2019年6月3日

節田梅と南高梅

新しい時代、茜姫新ステージへ

茜姫が誕生したのは平成5年。早くも26年が経とうとしています。その間、平成10年には優良ふるさと食品中央コンクールにて優秀賞受賞、平成18年には農林水産大臣賞を受賞いたしました。これも一重にご愛顧くださいましたお客さまのおかげでございます。心から感謝しております。
さて、茜姫を育んだ平成が終わり、令和へと。万葉集の梅花の歌から引用された元号ということで、「新たな時代を迎えるにあたり、梅の砂糖漬の茜姫を。」とご用命も多くいただいております。

常に進化を続ける茜姫

新しい時代とともに、茜姫も新たなステージの幕開けを迎えようとしています。発売以来皆さまにご愛顧いただいている茜姫、実はこの期間、常に進化を続けております。当初は、地元東根市産の「節田梅」を育てる農家のお母さん方が「梅干しにするには皮が柔らかすぎるし実が大きすぎる」ことから自家用に砂糖漬にしていました。これを、弊社漬物師範の横尾昭男が商品化したのがスタートです。その後もよりよい状態の茜姫を目指して、研究開発を続けています。いまだに発展途上にあると申し上げると、お客さまにはお叱りを受けてしまいそうですが・・・。あのイチロー選手の引退会見の際におっしゃった「常に時代と状況に応じて変化し続けている」という言葉、ちょっとおこがましい気もしますが、茜姫もまさにその通りなのです。

「近づける」から「持ち味を活かす」に

その影には、様々な要因があります。農家の方々の高齢化や、さくらんぼの晩成化が進んだことによって、節田梅が収量不足となってしまっております。このため、様々な品種の梅で茜姫の試作を繰り返した結果たどりついたのが、現在使用している佐賀県産の南高梅です。和歌山県産のものよりも粒が大きくなるために皮が薄くなり、より節田梅に近いという理由からです。これをいかにして節田梅の茜姫に近づけるか?を課題として長年に渡り研究に取り組んで参りましたが、節田梅は皮が薄いため、とろりととろける食感。南高梅は皮がしっかりしているためもっちりとした食感。それぞれの違いが際立っておりました。このため数年前からは、近づけるのではなく、それぞれの持ち味を活かして漬け込むというところに重点を置いておりました。


左側が南高梅、右側が節田梅。南高梅の酸度の高さを活かして、糖度を抑えて漬け上げました。

南高梅の酸度を活かしてふっくら明るい漬け上がり

もともと南高梅の方が梅自体の酸度が高いため、甘さ控えめに感じるという方も多くいらっしゃったようでした。この南高梅の酸度の高さを利用して、糖度を低めに漬け込んだ結果、皮が柔らかく、比較的明るい色味に漬け上がるということが判明しました。一部のお客様には、「南高梅は食感が固い・色が濃すぎる」というご意見もいただいておりました。梅自体の持ち味を生かした結果、より節田梅に近づいたという驚くべき結果に結びつきました。
もちろん、まだまだ進化を続ける茜姫です。今回の結果は過程のひとつに過ぎませんが、今現在の持てる力を結集した自信作です。ご賞味いただき、ご意見ご感想をいただければと思います。

節田梅増産計画進行中

なお、節田梅の収穫量が年々減少し、希少化しているという事態を踏まえまして、現在、山形県内の果樹農家の方々にお願いして栽培面積を増やしております。とはいえ、梅が実を付けるまでは最短で3年ほどかかります。こちらに関しましては、長い目で見守っていただければと思います。


2018年10月に漬け上がった節田梅の茜姫は、2019年1月には、ひとつぶ、大粒、特選、極上のすべてがほぼ完売となりました。