2020年10月19日

自宅で漬ける、かんたん粕漬

山形県内陸地方の
漬物文化が育んだ
〝昭和版粕漬〟

 壽屋のある山形県内陸地方は、恵みの海が遠く、冬は雪に閉ざされてしまうという気象条件、加えて江戸時代から統治が不安定でとても貧しい土地柄だったことから、保存食文化の発達した地域と言われ、自宅で漬物を漬けるという食文化が根強く残っています。漬物専用の冷蔵庫や保管棚、大きな漬物桶を持っているお母さん方もたくさんいました。(近年はだいぶ減ってしまいました)そんなお母さん方に向けて、昭和50年代前半に、壽屋が提唱した「ぶっ漬」は、秋に収穫したなすを、春先まで漬け変えなしで保存できる漬物として大人気となりました。下漬けなしで、ぶっつけ本番で漬け込むことから「ぶっ漬」という名前で親しまれ、当時は、各家庭で、一斗袋に大量に漬け込んでいました。当初はなすを漬け
込む方法とされていましたが、他に根菜なども漬け込むことができますし、工夫次第で色々と応用可能な便利な漬物です。

漬物の保存力

 野菜を塩分やアルコール分などの浸透圧で保存しながら、同時に乳酸発酵することで「漬ける」という現象になります。この粕漬は、酒粕の持っているアルコール分と糖分、砂糖の糖分、塩の塩分、からし粉の持つ保存力を総合して、バランスを整えて保存力を高めることが出来るという絶妙に計算されて作り上げられた漬物なのです。壽屋の漬物全般は、この保存力のバランスを保つことによって食品添加物を一切使用していません。ここには、様々な工夫と苦労があるのですが・・・。逆にいえば、色、塩味、甘味などを不自然に減らしていこうという人間の欲が食品添加物の使用につながっていると言えるのかもしれません。

昭和のぶっ漬を
令和の漬物へ

 昭和の時代に大流行したこのぶっ漬を、全国のキッチンで試していただきたい!とこの度、動画を作成しました。漬け込む量も、現在の家族構成を考え少なめに・・・。ぜひ、動画を見ながら東根の漬物上手のお母さんのお味、漬物師範の技をご自宅でお試しください!