2010年12月29日

2010年、今年の梅と茜姫。

壽屋の人気商品『茜姫』。
その茜姫と梅の今年の出来について、漬物師範と工場長が語りました。

今年の梅の出来。

漬物師範・横尾昭男
茜姫になる節田梅、今年は粒が大きいんだものね。不作だからだな〜。不作で、梅の木についた数が少ないから、一粒一粒が大きくなるんだなぁ。
壽屋漬物道場・工場長 丹野秀雄
去年も同じ傾向で、今年はもう春先からなり(実り)が悪かったですね。一昨年は実が多くなりすぎて粒が小さかったですね。
横尾
豊作型だと粒数が多くて小さいんだものな〜。
丹野
前は豊作と不作と交互に来ていた傾向があったんですが、最近はなんだか両極端ですね…。気候の影響なんでしょうか?四、五年ほど前は、集荷量を制限したこともあったほどなんですが、ここ二、三年は不作と豊作が続いていて、なかなかうまくいかないものですね。
横尾
もっと節田梅の作付面積を増やさねど、一定量を供給することは難しいべと思って、農家の方に今年新たに作付けをお願いしたんだ。楽しみなところだね。とは言っても収穫できるまでは六年かがると言われているがら、待つのみだな。
丹野
今年は、さくらんぼの収穫時期が遅れた分、節田梅も遅れると予想していたんですが、驚いたことに節田梅は平年通りで、漬け込み作業の準備に手間取ってしまいました。
横尾
さくらんぼと同じではなかったんだずね。急に梅の収穫時期になったからびっくりしたもね。


漬物師範・横尾昭男

大きくて例年以上に柔らかい今年の節田梅。

丹野
本当に今年の梅は、長年経験した中でも特に苦労しました。ただでさえ大きくて柔らかい節田梅の実が例年以上に大きくて柔らかかったもので…。漬けてる最中から破れてくるものが多く、対策が必要になりました。例年だと、塩水に一日漬けて翌日に漬け込むんですが、いったん塩水から上げて水分調整をして漬け込みました。でもやはり破れてしまったものが多かったです。
丹野
梅の皮が柔らかかったのは、日照が少なかったからでしょうか?さくらんぼがあまり色づかなかったのと同じ、最後の仕上げで皮がしっかり育たなかったかもしれないですね。
横尾
もともと皮が薄い梅が、中の実がぐんぐん育ってしまったので、より皮が育たなかったのではないがな?
丹野
それに、雨が多かったからでしょうか?皮が強くならなかったのかもしれませんね。
横尾
わがんねな。木さ聞いてみないと。(笑)


茜姫の漬け込み作業。この時期、漬物道場は一年で一番の繁忙期となる。(2010年7月撮影)

簡単にいかないのが梅を漬ける醍醐味。

丹野
うちの社の場合は、茜姫がメイン商品です。茜姫になる節田梅の収穫、入荷、漬け込みの時期はまさに時間との勝負になります。そのため、例年、節田梅の収穫時期に向けて、他の製品の生産計画を調整し、漬け込み期間には、メンバー総動員で専念できるようにしています。作業はちょうど七月の暑い盛り。『暑さとの戦い』という体力勝負でもありますね。今年は特に暑かったですしね。そういった苦労が茜姫に結集していると思います。大事にしていきたいし、製品化率(みくずれなどではなく、和紙の袋に入れて販売できるものの率)も上げていきたいし、まだまだ考えるところ、やらなければいけないことは多いですね。
横尾
色が濃くなり過ぎないように漬けるとかの努力も必要だべなぁ。色どが、見た目の美しさを追求していきたいもんだ。糖度を上げたり、下げたり、いろいろと試してはいるんだが、収穫時の梅の状態も関わってくるべな。
丹野
どういったところがポイントなんですかね?
横尾
ポイントが簡単に分かれば難しくないべ。分がらねがら難しくて、んだがら楽しいんだべ。
丹野
じゃ、こうしてみよう。なら、こうしてみよう。と次々考えて、やるしかないですからね。いろいろありますからね。(笑)
【山形弁(村山地方)のまま掲載しております。】