時代考証2つの理由。

これまで門外不出だった東根市内のとある旧家のお雛様。壽屋とは長年のお付き合いがある縁から、2018年に初めて壽屋のお雛様展示の列に加えていただけることとなりました。
保存してあった箱の蓋には「文政12年」とあったこのお雛様ですが、東根市の歴史に詳しい野口孝雄さんによりますと、「どうやら320年ほど前の元禄雛ではないか?」と推測できるということです。
その根拠は、1、身にまとっているお着物やお顔立ち。2、この旧家の当時のご当主が非常に文化人で、京都に絵の勉強に行ってらした。その際に、京都でより時代の古いお雛様を求めてきたもあろうと考えられること。3、この旧家のある近隣の地区で、同様の大きめの元禄雛がここ数年発見されていることなどからこの推測にたどり着いたということです。
一方で、時代考証についての別説が昨年展示中に飛び出してきました。お雛様研究家の安部英子先生によりますと、箱書き通りに「文政12年」西暦1829年当時のもので、現在から190年ほど前の古今雛であろうとのこと。その当時のご当主が京都に絵の勉強に行かれた際にその時代のお雛様をお求めになったものではないか?ということ。
お雛様の時代考証、あまりうんぬんと探り合うのはなんとも野暮で、お雛様お内裏様に笑われてしまうような気がいたしますので、この辺りにいたしまして・・・。詳しい方がお出ででしたら、何か情報をお寄せいただければと思います。
お雛様の特徴としては、全体的に大きな作りであること、ほおの膨らみのない美しいうりざね顔、お衣装は、お内裏様はとても珍しい公家のものであろう家紋をつけてらっしゃること、ともに紅花染めのお衣装をお召しですが、華美な十二単ではなく、比較的質素なものともいえるようです。
京都に絵画の修行に行って、日本画を描いていたということから、屏風も大変すばらしい品だと思われます。東齋という仙台藩おかかえの絵師だったといわれている方の作品ではないかと見られる。ということです。

写真からも伝わる、見るものを圧倒する迫力のあるお雛様。お雛様がご覧になってきた歴史の流れの一端を感じることが出来るような気がします。