2017年6月1日

さくらんぼに想いを馳せて。

実りに情熱を注ぎ続ける親子三代の物語

 県外の方が山形県を思い浮かべる際、まっさきに口にしていただくのが「さくらんぼ」。かわいらしい真っ赤な姿に、ぷりっとした食感、甘ずっぱい味、子どもからお年寄りまで大人気の果実です。なんと寿屋寿香蔵がある東根市は、さくらんぼの生産量が日本一!そして「さくらんぼのおいしさを全国に届けたい」「年間を通してさくらんぼの魅力を伝えたい」「子どもたちにも安心安全のさくらんぼを一年中食べてほしい」私たちはいつの日も、さくらんぼに惹かれ続けているのです。

「本当の味」を全国へ。流通の向上を目指す

 さくらんぼの旬は6月上旬から下旬。季節になるとその味を現地で味わいたいと、県内外から多くの方が訪れます。また生産者は全国のファンの元に向け、丹精こめて育てた実を丁寧に収穫し、発送していきます。現在は生で食べるのが一般的とされていますが、実は50年ほど前までは、缶詰などの加工品が主流でした。その原因は、さくらんぼは痛みが早く、お客様に届くまでおいしさを保てないというもの。「缶詰では本物の味が伝えられていない。本来のさくらんぼを全国に届けたい」そうひたむきに努力し続けた関係者のひとりに、現壽屋女将(横尾昭)の実の父、武田重郎氏の姿がありました。出荷方法の改善や、輸送方法の変換、品種の見直しなど、産地ならではの地道な改革に神町農協の初代会長として、全力をあげて取り組んだのです。その後努力は実を結び、昭和49年(1974)、加工用を生食用が上回る結果となり、藍綬褒章を受賞しました。

もっと、ずっと。再びさくらんぼの加工に挑む

 全国から生のさくらんぼが注目され30年以上が経った頃です。旬の短さから初夏以外には食べられない果実という現実に向き合い「さくらんぼの魅力を1年を通じ届けて行きたい」漬物師範 横尾昭男は、再び加工品を手掛けることを決意したのです。
 さくらんぼのおいしさの最大の特徴は、口に入れた時のぷりっとした食感。しかし、従来の漬物や加工食品では損なわれてしまうのが当たり前とされていました。漬物師範は様々な知識を身に着け、工夫を凝らし加工の努力を続けます。そうすること約十年、食品添加物を使用することなく、本格醸造りんご酢に漬け込み、生食の食感を残すことに成功しました。完成した「幸せの黄色いさくらんぼ」は、りんご酢とさくらんぼの甘酸っぱい風味と食感がポイント。その味と努力が認められ、平成20年度経済産業省地域資源活用プログラム認定商品となり、平成21年には「山形ふるさと食品コンクール」で優秀賞を受賞。全国大会である「優良ふるさと食品中央コンクール」でも受賞商品に選出されました。


下漬け作業中の幸せの黄色いさくらんぼ

安心安全なおいしさで子どもたちを笑顔に。

 さくらんぼを頬張る子ども達の表情は、まさに幸せそのもの。「子どもが喜ぶさくらんぼを一年中自信をもってたくさん食べてもらいたい」漬物師範横尾昭男の娘、壽屋代表のよこおともえは〝母の心〟で、そう願いました。ところが、さくらんぼの加工品の表示を見て見ると、添加物や着色料がふんだんに使用されており、知れば知るほど不安に。そこで更なるさくらんぼの加工に乗り出したのです。
 加工の難しさは、食感を損なわないための絶妙な温度調整と、繊細な風味をごまかすことなく調理すること。さくらんぼのかわいさに留まらない、食品添加物を使用しない加工方法の追求。ついに平成28年度「幸せの黄色いさくらんぼ」をベースとした「やさしいさくらんぼシリーズ」がデビューしたのです。初恋を思い起こさせるような甘酸っぱい「初恋の味甘漬」、ほのかに香るさくらんぼ風味を堪能できる「シロップ」、さくらんぼシロップで作ったとろけるような「ゼリー」。そのおいしさや食品加工にかける想いが評価され、ゼリーは平成28年度「山形ふるさと食品コンクール」において優秀賞にえらばれました。また壽屋では、これまでの代々研究し続けてきた技術を用い、次なるさくらんぼ商品の開発が進められています。さくらんぼ生産量日本一の東根市から、新たな魅力を発信できる日も間近。ご期待ください。
 さあ、今年も東根に、真っ赤なさくらんぼがたわわに実を付ける季節がやってきます。壽屋の親子が、そして多くの人々が愛してやまない「さくらんぼ」をぜひご賞味ください。

ご注文はこちら
ご注文はこちら